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[民俗・宗教]熊野古道を歩く
2007年11月講座、
参加者募集中!

熊野三山(本宮・新宮・那智大社)への信仰は、古代人が山や水や巨石に祖霊が棲むと畏怖した原始信仰に、渡来した仏教が影響し、さらに熊野修験が重なりあって厳しい野生的な信仰であった。平安中期から鎌倉時代にかけては皇族・貴族が、やがて武士・庶民層に広まって「蟻の熊野詣」というほどに熱狂的に人々の心を駆り立てた。 1・2日目は春の山道を、3日目は青く輝く熊野川を経て、新宮、那智へ。 熊野権現をまつった王子や、杉木立の峠を越える古道をたどり、信仰のルーツを考える上で重要な熊野川へも視点を落とす。

[開講日]2006年4月29日(土)3日間
[講 師]宇江 敏勝榎本 慎一

本宮大社までもう少し、
ひとまずみんなでお昼ご飯


熊野本宮大社の旧社地
大斎原(おおゆのはら)の大鳥居


湯の峰温泉には
世界遺産にも指定されている
「つぼ湯」がある


神倉神社の石段


3日目のハイライト那智大滝
●添乗記 報告者●竹嶋


なぜ熊野を歩くのか?
古の人々が聖地熊野三山へと向かった道。人々は、なぜ険しい道を踏み越えていったのか?「熊野古道を歩く」では、その答えを紀州の語り部でもある講師の宇江さん(1、2日目)、榎本さん(3日目)による解説をまじえながら、実際に自分の足で確かめる3日間の旅だ。熊野参詣道には大きく分けて5つ、小辺路、中辺路、大辺路、熊野川、伊勢路がある。今回旅をするのは、熊野三山(本宮大社、速玉 大社、那智大社)を巡る「中辺路」だ。

ホラ貝小脇にひと休みする
宇江先生

1日目 「王子」を訪ねる
まずは熊野の西の入り口である田辺から旅は始まる。田辺はその昔、参拝者達の宿場町として栄えた町である。そこからバスで約30分、滝尻王子に到着。
中辺路を歩く上で、キーワードとなる言葉に「王子」というものがある。宇江さんによると「王子」とは、古くから樹木や大岩、川、滝など神仏の宿る所として人々に信仰されてきた場所に、社や祠が建てられ参詣された一種の御子神だ。この王子が、大阪から続く古道の沿道に99カ所祀られ、九十九王子と呼ばれている。百ではなくて九十九というところに、私は魅力を感じてしまう。九十九王子を通 過し終えた後、歩き疲れた人々が最後に目指す100番目の場所。何とも良いではないか。人々が各王子を参拝していく過程で熊野三山への信仰心を高めていった様子が垣間見えてくる。
無論、この九十九王子は道中の道しるべの役割も担っていて、中辺路を歩くということは王子を巡る旅でもあるわけだ。また、「水呑王子」や「猪鼻王子」、「近露王子」など、この九十九王子の名前の由来を探っていくだけでも、昔ここを歩いた人々の遊び心や熊野信仰の片鱗を感じとれるようで、大変興味深い。宇江さんが、道中で訪れる各王子を丁寧に解説して下さるので、初めて熊野を訪れる方でも興味は尽きない。

滝尻王子を出て、箸折峠を通り「牛馬童子」を目指す。木や土の香りが身体に心地いい。熊野古道はその全てが世界遺産に登録されているわけではない。熊野古道にも昔のまま保存されているところもあれば、舗装されていたり車道になっている箇所もある。そういった場所は世界遺産の登録から除外されている。「なんだ」と思われる方もいらっしゃるかもしれないが、そこに住む人々にとっては古道自体が生活道であることも忘れてはならない。

牛馬童子の石像は、牛と馬を横に2頭並べ、その上にまたがり熊野詣をした花山院の姿を写 したといわれている。中辺路で人気の場所の1つだ。しかし、牛と馬2頭にまたがって、花山院はよく移動できたものだと不思議に思ったが、解説して下さった宇江さんの言葉で合点がいった。花山院は牛と馬2頭にまたがって移動した訳ではなく、急な上り坂では牛に乗って馬を牽き、平らな広い場所では馬に乗り換え逆に牛を牽いたのではないかということだ。いやいやさすがに奥が深い。

2日目 熊野本宮大社を目指す
この旅のピークは、なんといっても岩神王子から熊野本宮大社までの距離にして約10キロを歩き抜ける2日目であろう。山道や林道、石畳、茶畑や水田が広がる集落沿いの道などを、小休憩や、疲れ知らずの講師の解説を交えながら本宮を目指す。途中、車が入れないところも出て来る、本格的な古道である。長く険しい道のりだが、まるで私たちを励ましてくれるかのような、宇江さんが奏でるほら貝の音色や涼し気な沢の流れ、そして何よりも全員で歩いていく心強さに疲れも吹き飛ぶようだ。
前半は山道や林道の中を歩いていく。昔はウバメガシや樫が中心だった植生も現在では檜や杉に変ぼうした。山の中を歩いていると、時々ハッとするような素晴らしい光景に出会う。木立の間からスーッと射し込んでいる一筋の光、見上げると何か語りかけてくるような神々しいまでの巨樹、まるで微笑んでいるかのように咲いている色鮮やかで可愛らしい花たち。
そんな光景に出逢い、古代の人々が信じた原始信仰、水の神、山の神、岩の神というものに触れた気がした。

後半は、視界が開けた集落沿いのなだらかな道だ。前半の山道を歩き抜けた満足感と、見晴らしが良く歩きやすく幅広い道に、全員楽しげなおしゃべりや笑顔が自然とこぼれてしまう。歩きながら地元の人達と明るい挨拶をかわす。大きなポリバケツの中に入っているウコンを洗いながら笑顔を見せてくれたお母さんの影に隠れて、子供が恥ずかしそうに私達を見ている姿が印象的だった。
さあ、本宮大社はもうすぐだ。

3日目 新宮へ
行程3日目には、毎年2月6日に行われる「お燈まつり」の舞台、神倉神社にも訪れる。お燈まつりは白装束に身を包んだ男達が、御神火を灯した松明を片手に538段の急な石段を、先を争って駆け降りて行く荒々しい男のまつりだ。毎年、著名人も参加するそうだ。入り口から538の石段を登っていく。皆さん「今日もこんな登りがあるとは油断してた」とおっしゃいながら、元気に登っていく。石段を登りきると、御神体であるゴトビキ岩と山腹から見下ろす新宮の街と熊野灘が広がる素晴らしい景色が待っている。

有名な登山家が「山を登る魅力はなんですか」と聞かれて、「山を登っていると日常の生活の自分にとってどうでもいいことから順に思考から抜けていく」と言っていたのを覚えている。山を登った経験がある人ならば共感できる言葉ではないだろうか。 その昔、古道を歩いた人々も俗世の欲を捨てるため、あえて険しい山谷を大自然や熊野三山に救いを求めて踏み越えてきたのであろう。熊野はその当時の人々の魂や、大自然の神を感じ取れる場所が数多く残っている場所である。
山道で、「次は父も連れて来たいんです。」と話してくれたお客様の言葉がとても印象的に心に残っている。熊野は年齢や性別 を問わずお楽しみいただける場所であると思います。親子で、ご夫婦で、お一人様でも皆様のご参加を心よりお待ちしております。

 

 

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