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[アウトドア技術]焚き火に学ぶ
暮らしの中から火が消えつつある。調理、暖房器具の進歩により便利で安全な都市生活は、 代償として祖先たちが獲得してきた人間としての生きる能力を退化させ、安全への嗅覚も鈍くさせた。 火を扱う場の少ない今、先祖が培ってきた技術を無駄にしないために、あえて火を扱い、楽しみながら伝承していきたい。そこで焚き火。 燃やす材料(薪)、薪割り、火起こし、火付け、維持、後片づけなど、焚き火ひとつから学べることは多岐に渡る。 焚き火をする機会が少なくなった現在、自然循環の中で果たす環境保全技術としての焚き火の役割にも注目したい。火の暖かみ、有り難さが身にしみるこの時期、焚き火を囲むのはいい。
関根さんによるユミギリ式発火
とりゃー
●添乗記 [2004-12-4〜5開講]  報告者●嶋田

焚き火は夜こそ楽しい。企画の打ち合わせの段階で講師の関根秀樹さんから頂いたアドバイス。 楽しい焚き火のためには、まず、火を起こすことから始めてみました。古代人に習い、キリモミ式やユミギリ式の発火術に挑戦。 擦り合された木の先から煙がでるところまではいくものの、皆さんもう少しで種火という一歩手前で一息ついてしまいます。 慣れない身体動作は、なかなか持続してくれません。そこで、関根さんに見本を見せてもらうと、それこそあっという間に煙が出、種火が出来上がります。 関根さんのフォームは、脇を締め体を小さく固め、動作に無駄がありません。
出来た種火は、そのままではタバコの火と同じで簡単には消えないものの薪に火がつくほどではありません。 そこでこれを炎に育てる訳ですが、そこにはひと工夫いります。 麻縄を、わたのようにほぐしたものに、火種をいれてこぼれないように包みぐるぐると振り回します、煙が濃くなったかなと思った頃、ボッと炎が起きます。 その炎を格好よく投げ入れでもすれば、まるで手品のようなアクションになります。
さて、次はそうしてできた炎をたき付けから薪へと燃やしていきます、ここでのポイントはとにかくたき付けはたっぷりと。 周囲にある杉の葉と小枝を皆でかき集めたものでも充分。着火剤やら、新聞紙がなくても充分に焚き火に育ちます。
焚き火に使う薪は、薪割りにて用意。スパーンと真っ二つに割れる快感を味わうべく皆、熱がはいります。 初めてのかたも関根さんの指導により、快感を味わっていました。
冬の山の夕暮れは早く、薪割りを終えてからは、夕餉の支度です。献立は関根さん持参のスパイスによるフィリピン・バシラン島風海鮮カレーと、雑穀ごはん。 加えて各自が持参した、つまみとお酒。あたりが暗くなると、皆さんの目が楽しげにランランと輝いているように見えたのは私だけでしょうか。 料理ができる前の期待感も焚き火独特のものがあります。ワインにビール、焼酎など各自が好きなお酒を片手に、談笑しつつ出来上がりを待ちます。 時折、襲いかかる煙に涙をしぼられつつ火を眺めているうちに、言葉少なになったり、ポツリポツリと話だしてみたり、火のリズムと同調しているようなそんな感覚にとらわれてきます。 しばし焚き火のリズムに、身をゆだねていると、関根さんが竹でできた様々なアジアの民族楽器を手に素朴な音色ですーっと入ってきます。 そしてその楽器たちは次々と隣の人へとまわされ、各自がひとつずつ楽器を持ち、叩いたり、吹いたり...。 すると無言のうちに、ひとつの演奏が始まり、ゾクゾクっとしたなんとも表現しようのない感情が沸き起こります。そんな時も、 関根さんは静かな笑みでそして少しだけ皆をリードするように音をだしているのでした。

スタート当初、私は担当者として意気込み、もっといろんな話をひきだそう、もっといろんなネタをだしてもらおうと思っていたのですが、 関根さんはそんなあせった私の心を見透かすかのように、だまって火を見守りながら、間を置きつつ話をしてくれました。 けっして火を大きくせず、かといって消えそうになることもなく、あくまでも今必要なぶんだけを燃やす。関根さんの顔は火と対話しているようにも見えました。 苦労して割った薪には我々にも節約の心が働きます。暮らしに薪がほとんど登場しなくなった現代では焚き火というと遊びで資源を無駄使いしているようなイメージもありますが、 里山などの二次林の維持管理には木を切る必要があり、薪の需要が里山の間伐材の有効利用に一役買うという環境保全技術として焚き火も必要だよねという見方もあります。 たかが焚き火、されど焚き火。使い古された言葉かもしれませんが焚き火が多くのことを学ばせてくれました。

 

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