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霧ケ峰の高原にカッコウの鳴き声が響き始めた頃、僕らヤマネの森に人間達がやって来た。
先頭にいるのは15年間も僕らのことを写真に撮りながら、暖かく見守り続けてくれた写真家の西村豊さん。
時折立ち止まりながら春の野草を嗅いだり、森の植生なんかについて話してるみたい。どんどんこっちに来るのでちょっと心配....
幸い、じっと穴の中でうずくまる僕らを尻目に一行は通り過ぎて行く。
このまま森を 出て八島ケ原湿原に行くらしい。
この貴重な高層湿原も実り豊かなのこの森も油断するとすぐにまったく別の環境になってしまい僕らが生きられなくなるってことみんな気付いてくれるかなぁ。
きっと西村さんがこの人たちに僕たちのこと話してくれると思うけど、ちょっと気になったので夜、彼らの泊まる宿まで様子を見に行ってみた。
ランプの灯るラウンジで僕らの写真に加え、八ケ岳のキツネくんたちの写真もみんな に見せながら僕たち野生動物の生態について面白おかしく話してる西村さん。
飼育された仲間たちを見てるだけでは決して分からない野生の僕らの話。
それを熱心に聞き入る人間たち。そうなんだよ、僕らほんとはこんな暮らしをしてるのさ、もっと僕らのこと知ってほしいな。
そして、僕らの棲む森を一緒に楽しもうよ。そんな僕らの気持を代弁するように西村さんの話は夜も更けるまで続く.....
翌朝、眠っている僕の巣穴に近づく人間の気配。どうやらヤマネの神様のお導きらしい。穴の外には人間たちの息遣い。
皆、じっと息をこらしてる様子。木の下のほうにあるネズミくんの巣穴にも気付いてるかなぁ? そう、ここは森の集合住宅。ご近所さんにも迷惑かけないようそっと見てそっと立ち去ってね。それがこの森のマナー。
きっと人間の暮す処も一緒だよね。
どう?僕らのこと少しはわかってくれた?僕らに会いたくなったらまた森においでよ、ぼくらいつでも森にいるんだよ。棲みやすい森が増えればもっと会えるさ。
それじゃまたね。
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